埋設配管に関するQ&A(前編)
先日弊社が施工した現場では無いお客様から埋設配管に関するお問い合わせがありました。それはこういう内容です。
「オレンジ色の配管が土に埋設されているのだけれども、これは問題ないのか?」
聞くところによると家が完成した後に、エクステリアの工事の打ち合わせの際、外構業者様より引き込みポールの埋設深さが浅すぎるという指摘があり、それをきっかけにお客様が気になってdinnoにお問い合わせされたようです。dinnoでは電気工事の際、土への埋設配管にオレンジ色の配管=CD管は使うこともありません。そして引き込みポールは必ず1/6以上地中に埋め、コンクリートで寝巻をし、地際に水が溜まらないように施工します。また一般的にCD管はコンクリート埋設管専用として業界で認知されているので 業界人はコンクリート以外の埋設(庭や植え込みなどの土の中など)にCD管を利用することは無いと思います。
そこで改めて調べてみました。CD管を土中の埋設配管として使えるのか。電気工事に携わっておられる方。答えはわかりますか?
まず、電気工事をする際の決まり事をまとめたものとして、「内線規定」「電気技術基準」といったものがあります。この2つは電気工事をする者で知らない人はいないくらいメジャーなもので、例えば配管を止める支持材の間隔であったり、土に埋設する際の配管の深さ、電線に流すことのできる許容電流の計算の仕方などありとあらゆる電気工事のお約束をまとめてあります。これらは先人たちの過去の失敗や経験から生み出されたもの、またメーカーなどが試験を行った結果などを元に有識者が基準を定めたものです。年を追うごとに材料等も進化しますので、技術基準も内容が書き換えられていきます。従ってこれを守って仕事をすることで、電気工事のトラブルを最小限におさえることが出来るわけです。
それではこれらの基準書にはCD管についてどう定められているのでしょうか?CD管は「かとう管」の一種です。一般の方にはなじみの無い言葉だと思いますが「かとう管」は簡単にいえば簡単に手で曲げられる部類の管の事です。合成樹脂製可とう電線管工業会という団体があり、そちらのホームページにこのCD管の使用場所について詳しく紹介されています。
CD管について調べる前に、まずケーブルと電線の違いについておさらいする必要があります。例えが悪いですが、ケーブルがアメリカンドッグだとすれば電線はフランクフルトだと思えばイメージがし易いと思います。電線の上にもう一枚保護層があるのがケーブルです。要するにケーブルのほうが強いと単純に考えて良いでしょう。これは絶縁性能もケーブルの方が良いことも容易に想像できると思います。先ほど紹介したページにある表に「絶縁電線」「ケーブル」という言葉が出てきますのでその違いを意識して見比べる必要があります。欄外の解説にケーブル工事の場合「CD管はコンクリート埋設に限定されておらず、屋内・屋外においても使用することができますが、CD管はPF管とは違い自己消火性がないことから、コンクリート埋設以外の露出場所においてはPF管を使用することが望ましいといえます。(工業会見解)」とあります。CD管に自己消化性が無いとは、火がついた時に燃え続けるという事です。逆に自己消化性があるPF管の場合は火がついてもそのうち勝手に消えるということです。これらの性能の違いがCD管とPF菅の違いであり、電気工事屋はみんなこの事を常識的に知っています。しかしこの表は△という曖昧な表現をしています。実際のところ使っていいのかダメなのか。これを追求するには先に紹介した2つの基準書だけではなく、JISの規格も調べる必要があります。この件について徹底的に確認するため、dinnoでは合成樹脂製可とう電線管工業会に質問をぶつけてみました。ご担当者から丁寧に回答いただいたのでここに紹介します。弊社からの質問内容も含まれているので参考にしてください。
株式会社 d i n n o様
合成樹脂製可とう電線管工業会
拝啓 時下ますますご清栄のことお喜び申し上げます。
平素は当工業会に格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
お問い合わせ頂きました内容について回答申し上げます。ご査収のほど宜しくお願いいたします。
お問い合わせ内容
CD 管の埋設について。
1「JIS C 3653 附属書3(規定)管路式電線路に使用する管」には CD 管も含まれ地中埋設ができるか?
2仮に30センチ深さで埋設した場合CD 管の強度として問題ないか?
3ケーブル配線で CD 管による埋設は JIS 規格の側面から見ても問題ないのでしょうか?
回答
1JIS C 3653 附属書3 に CD 管は含まれるか?
JIS C 8653 の附属書3 の要求事項に適合している管であれば、CD 管、PF管に限らず全ての管が地中電線路の埋設管としてご使用頂けます。CD 管、PF 管が附属書 3 に適合しているかについては、メーカー毎に見解が異なりますので、誠にお手数ですがご使用のメーカーにお問い合わせ下さい。「住宅構内又は車両その他の重量物の圧力を受けるおそれのない場所の施工に限り」の場合は、JIS C 8653 の附属書3 の要求事項に適合していない管でも、JIS C8411 に適合する PF 管の使用ができることになっています。
2仮に30センチ深さで埋設した場合CD 管の強度として問題ないか?
JIS C 3653 附属書3に適合した管であれば、JISに規定した性能を有しておりますので、埋設しても問題ございません。JIS の強度についての詳細な内容に関しては、誠にお手数ですが日本規格協会へお問合せ下さい。
3ケーブル配線で CD 管による埋設は JIS 規格の側面から見ても問題ないのでしょうか?
ご使用頂くCD管が、JIS C 8653の附属書3の要求事項に適合している管であれば問題ございません。
以上甚だ簡単ではございますが、回答とさせていただきます。
※ 回答いただいた内容を弊社ホームページで紹介する旨了解いただいております。
ポイントは
- JIS C 8653 の附属書3 の要求事項
- 1JIS C 3653 附属書3
です。これらにCD管が含まれるのかどうなのか。いただいた回答によるとメーカーによって異なるという事です。そうなると今度はメーカーに確認するしかありません。弊社で使用している配管メーカーは 未来工業とパナソニック。両社とも日頃から技術的な相談について親切にお付き合いしていただいているので両メーカーに確認してみることにしてみました。
結果は。。。
あまりにも長くなったので、この続きはまた次回。